<EQ理論>EQ能力ブランチ4 感情の調整
他者の感情に適切かつ効果的に働きかける行動をとるために、自分の感情を調整したり、コントロールする能力。
適切な言動のために感情を調整する
EQを発揮するための最後のステップが「感情の調整」です。
ここでは、対人関係において相手の気持ちにもっとも適切かつ効果的な行動をとるために、自分自身の感情に最後の調整・操作を行ないます。
言葉をかえれば、「感情の調整」とは、「感情の利用」によってつくりだした自分の感情を、「感情の理解」で導きだした対応行動に適したように調整・操作する能力といえます。
まず「感情の識別」によって両者の感情を認識し、次いで「感情の利用」能力を発揮し、自分の感情を落ち着かせます。たとえば、次第に苛立ちつつあった自分の感情をいったん落ち着いた感情に作り変えるようなものです
その落ち着いた感情の状態で、次のステップである「感情の理解」に移り、当面する状況において自分が取るべき、最良と考えられる対応策にたどりつきます。
それは「自分の言葉が相手を傷つけたのが発端だから、まず謝ったほうがいい」というようなものです。
さらに「では、具体的にはどうしたらいいだろう。あまり深刻なのは、かえって気まずい雰囲気になりかねないし……」と考えていくことになります。
こうして、取るべき対応を決定すると、ここで最後のステップである「感情の調整」に移ります。謝罪には言葉と行動が必要です。そして、あらゆる言動は感情に影響されます。
たとえばこの際取る選択とは、先ほどまでの二人の話題を利用して、明るく謝るという方法などです。瞬時に自分の感情を明るく謝るためにふさわしいと思われる感情――素直な中に茶目っ気と期待を抱いた気持ち――に調整します。
EQは、「感情の識別」からスタートし、「感情の利用」「感情の理解」というコースをたどり、最後に「感情の調整」を経ることで、対人コミュニケーションにおける「効果的な言動」という果実を生み出すのです。