対人関係知性 ~ソーシャル・スキル~
これは、他の人に対応する際に発揮される技能のことです。
自分の考えていること、思っていることを他の人に適切に、しかも効果的に伝えるには、一種の技能(スキル)が必要です。
素直に応えるだけでは、かえって誤解されたり拒絶されたりすることもあります。
どのような内容を、どのような順序で、どのような手段で伝えるか、それぞれについて知識とテクニックが必要です。このような知識とテクニックをあわせてスキルと呼んでいます。
ソーシャル・スキルをより多く備えている人ほど、対人関係知性が高いということになります。
第3の知性「対人関係知性(ソーシャル・スキル)」を構成しているのは、自己表現力、アサーション、対人関係力の3つの能力です。
自己表現力
対人的な知性を発揮することは、相手に向かって自分を表現することです。
特に、自分が感じていることを的確に相手に伝えることが重要です。
たとえば、いくら相手のことを思いやっても、それを何らかの手段で伝えなければ、相手はなにも気付いてくれません。
感じていること、考えていることを相手に伝えることによって、初めて相手との良好な関係が構築できるのです。
人が感じたり思ったりしていることは、言葉だけでなく、表情や身振りなどの非言語的な(ノンバーバルな)手段でも伝わります。
「嬉しい」と口でいても、無表情であれば正確に伝わりません。逆に、口には出さなくても、ニコニコ笑っていれば、喜びが相手に伝わります。
このような点から、EQIでは「自己表現力」を、「情緒的表現性」と「ノンハーバル・スキル」の2つの素養で測定します。
自己表現力 | 情緒的表現性 | 怒りや喜びなど自分の感情を相手に表現し伝える事 |
ノンバーバル・スキル | 言葉以外のしぐさ・表情・視線などによる気持ちの表現力の事 |
アサーション
アサーション(assertion)を直訳すれば、主張や断言ということになります。
しかし、こう訳してしまうと、一方的に自分の言いたいことを相手に押し付けることのように感じられてしまいます。そこで、カタカナでアサーションと表記しています。
アサーションとは、主張を声高に言い張ることではありません。「言いたいことを言わずに自分だけが我慢すればそれでいいんだ」という消極的な態度を否定する概念です。
アサーションとは、自分の中にある不満や怒りを相手に、素直に、ただし適切に表現することです。
「ノー」と言うべき時には、はっきり言おう、ただし相手のことも考えながら、という態度です。
言うべきことも言わずにいると、怒りや不満は内向します。また、「ノー」と言えない自分を卑下し、悲しく気落ちした気分になってしまいます。
ただし、いつでもお構いなく、言うべきことを言えばいいというわけでもありません。EQの高い人は、時と場合によってはアサーションを控えます。
アサーションは、相手の感情状態を受け入れたり、共感したりしながら発揮されてこそ、真の効果を生むのです。つまり柔軟性が必要なのです。
EQIでは、アサーションを「自主独立性」「柔軟性」「自己主張性」の各素養で測ります。
アサーション | 自主独立性 | 人に頼らず、主体的に物事に取り組もうとする事 |
柔軟性 | 考え方の幅広さと感受性のしなやかさ、キャパシティーの広さの事 | |
自己主張性 | 自分の意見や判断、権利を相手に率直に伝える事 |
対人関係力
「対人関係力」とは、人間関係で生じるさまざまなトラブルが、解決すべき「問題」であるならば、その解決法を数多く考え出して、適切な解決策を選択すれば、トラブルが解決できるはずだ、という発想です。
このように発想することで、どのように対処すべきか困り果てていた人間関係のトラブルが、何とか対処できるものになります。
EQの高い人は、実は、この基本的発想を身につけているのです
。
人間関係のトラブルが生じても、それを解決できる問題だと考えてうろたえたり落ち込んだりしません。
冷静に対処しようと考えて、適切な解決策を見い出す努力をします。その結果、実際に、上手に人間関係のトラブルに対処しています。
EQIでは、この力を「対人問題解決力」という素養で測ります。
人間関係のトラブルを問題と捉えて解決していこうとする発想は、人との関わりに重点を置きたいという態度に支えられています。
つまり、たとえトラブルが生じても、積極的に他の人と交わることで、問題の解決を見い出し続けようとする態度です。
EQIでは、この態度を「人間関係度」という素養で測ります。
対人関係力 | 対人問題解決力 | 人間関係のトラブルを解決していこうとする積極的な意志の事 |
人間関係度 | 周りの人とのコミュニケーションを大事にしていく事 |